クロモジ茶作りについて

更新日:2022年04月01日

皆さまこんにちは、地域おこし協力隊の岩井です。
1つ前の記事で植物総覧をご紹介いたしましたが、本ブログでも随一のアクセス件数を誇るクロモジ茶作りについても言及しなくてはと思い、改めてクロモジについてご紹介をしていきます。
前回の記事とあまり変わりませんがご報告もありますので是非一読ください。

クロモジとは

クロモジはクスノキ科の落葉低木で、その薫り高い精油成分にと抗菌作用により和菓子の楊枝に使われてきました。
現代では精油成分に着目し、フレグランススプレーや香水などさまざまな商品が発売されています。
お茶については一部地域に残っていたのみで、全国的にはマイナーではないでしょうか。

黄緑色の葉の色をしているクロモジの枝の写真

クロモジ茶の作り方

採取

クロモジは桜が咲くころに黄色い花が咲きます。今の時期ですとちょうど咲き始めるかなといったところでしょうか。
また木肌は緑色で、そこに黒い筋が混じる特徴があり、これが一番の見分けポイントです。
古くなった幹などは灰色になりますが、香りは変わりません。お茶に使う場合は加工しやすい緑の枝がよいでしょう。
葉っぱについても枝同様使えます。7月まででしたら虫食いも少ないかと思います。

青々とした葉のクロモジの枝の写真

下処理

採取した枝はまず洗って土など汚れを落とします。金タワシが個人的にはオススメです。
黒いモヤが簡単に取れますが、強くこすると皮まで削ってしまうので注意しましょう。
汚れが取れたら次は乾燥です。40センチメートル程度または1センチメートル程度に枝を裁断し、野菜干しネットなどで日陰の風通しの良い場所に2週間ほど置いておきます。
乾燥したら40センチメートルのものは細かく裁断し、パックに詰めていきます。目安は1リットルあたり8グラムぐらいでしょうか。

煮出し

私の場合は1リットルあたり8グラムでお茶を入れます。葉の場合はかなり出やすいので、お好みで調整してください。
まずヤカンに水を入れ、そこにクロモジを投入。弱火・中火で温めていきます。沸騰したら沸騰するかしないか位の弱火で15分ほど煮出していきます。15分したら一度火から離し粗熱を取ります。
あとはお好みで再加熱してホットにしたり、冷蔵庫で冷やしたりして飲みます。
しっかり成分を出したい場合は再加熱の時にクロモジを入れたままにすると良いですね。
色は最初ピンクっぽいですが、空気に触れると段々赤みが強くなります。
葉はお茶らしい緑がかった色合いです。
味の補強に砂糖を入れるとぐっと飲みやすくなります。

紙コップに注がれたクロモジ茶の写真

市販について

前回の記事でご好評をいただきまして、販売していないのかなどのお話をたくさんいただきました。
当初は道の駅での販売などを考えましたが、残念ながら実現には至りませんでした。
生産体制もそうですが、クロモジを安定して供給できる山がないことが第一です。
確かに群生地のようなところもありますが、採取→生産のサイクルと成長が間に合うのか、植え付けたとして畑化できるのかというと実際難しいです。シカの被害もありますし、獣害対策などを考えるとコストが見合わなくなります。
何より、自然のものをいただくことの楽しさを広めたいと今の仕事を始めましたが、果たしてそれは自然なのか。自分の中でいろいろと定まらない中での断念でした。
今後どのようなことができるだろうかと考えてもいますが、街中で自然を感じるための1つのアイテムとして、細々と自分の手の範囲で続けていこうかと思っています。
そのような訳でご期待くださった皆さんには申し訳ありませんが、市販については未定とさせていただきます。

最後に

以上クロモジ茶のご紹介でした。
山の恵み、空気を街中でも感じられるようにと考えて一番最初に辿り着いたクロモジ茶。今となってはドクダミ茶・ヨモギ茶・タムシバ茶などさまざまなアイテムが次々湧いてきました。
個人だからこそ少しずつ山の恵みを分けてもらい、次の年からも持続的に分けてもらえる。来年ももらえるように周りの手入れをしたり、山の様子を確認することに繋がる。
そういったことが続いて四季の変化やオンリーワンの体験ができることが田舎の、山の強みなのかなと思います。
街中であっても今はネットなどがありますから、山の生産品を買うことが山の整備に繋がります。持続的に手入れをするためには手入れをする価値を生み出してやらなければなりません。
ただ最近は個人出品できるようなサイトも増え、山の所有者が出品しているのか、はたまた密猟なのか分かりません。消費者にとっても見る目を養う時代が来ています。
SDGsが求められる世の中で、未来のための賢い選択が生産者から消費者まで責任が求められています。

街中ではなかなか自然が体感できないことも多いですが、一歩地方へ出れば至る所に自然があふれています。
田んぼや畑の畔であっても、その環境だからこそ力強く生きている植物たちもいます。中には野草も隠れています。
そういったことも知識がなければただの背景と化し、何でもないものになってしまいます。
田舎は自然がいっぱいだよ、と言っても知らなければ目に見えない微生物と一緒です。
見る目を変える、見える世界を変えることが環境教育、木育に関わらせていただいた時の命題でしたので、クロモジに興味を持っていただいた皆さんにも是非身近なところから自然を発見してほしいです。
そのためのツールとして1つ前の記事も作成したところですので、是非参考にしていただき、雑木一つでも名前を調べてみてはいかがでしょうか。

様々な種類のお茶と、小皿に乗っている茶葉の写真
視界が開けた見晴らしの良い場所から撮影した青空と山々の写真

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