天然香木のお茶作り

更新日:2022年04月01日

香木を使ったお茶づくりのご紹介

こんにちは。

地域おこし協力隊の岩井です。

冬が終わり、ちらほらと桜が咲き始めていますね。

野草たちも芽が伸び、花が咲いているものも多くあり、段々と外の風景も鮮やかになってきました。

今回はこの冬の間にいくつか試してみた香木を使ったお茶作りをご紹介したいと思います。

クロモジ茶については過去にご紹介しましたが、今回は新たに2種類の樹を使っていきます。

ヤブニッケイ

ヤブニッケイと言ってもピンと来ない方もいらしゃると思いますが、簡単に言いますと野生のニッキのことです。

お菓子などに使われるニッキは中国など大陸が原産で、本州には自生していません。ヤブニッケイはその仲間ではありますが、ニッキに比べて香りが弱く、商業的には活用されていませんでした。

国内では寒い場所よりも暖かく、茂った森に生えることが多いです。京丹波町内ではほとんど見かけることがなく、地域によってはレアな植物です。

そんなヤブニッケイではありますが、腐ってもニッキの仲間、ちゃんと香りはします。ニッキ水などのような強い香り・味はありませんが、風味付け程度には活用できそうです。

なにより、自然の中で香りがして、なおかつ嗅いだことのある匂いというだけで価値は十分あります。

濃い緑の楕円形で先端は次第に穂染まってやや尖っているヤブニッケイの葉が枝を伸ばし垂れ下がっている様子の写真

ヤブニッケイ茶

そんな訳でヤブニッケイの葉を煮出していきたいと思います。

ヤブニッケイはツバキのようにしっかりした葉で、そのままお湯に入れてもなかなか出ません。

細かく千切ってから煮出すのが良いでしょう。

量については出にくいことと香りが弱いことから、気持ち多めでもくどくはなりません。

枝についても活用したかったですが、如何せん町内でほとんど生えていませんので、十分に採取できず試せていません。もしかしたら枝の方がよく出るかもしれませんね。

葉っぱが柔らかくなるまでたっぷり煮出してやると、ほんのり甘い香りと、薄めの煮汁が出てきます。

葉っぱが足りなかったのかあまり濃くは出ませんでしたが、ヤブニッケイ茶がとりあえず完成しました。

お味の方はというと、、、やはり薄い。

主役として飲むにはパンチに欠けますね。ただ、ほんのりとした風味を味わうことはできます。

他の味を邪魔しないと考えれば、紅茶に混ぜてみたり、あるいはお風呂で香りを楽しむ、というもの良いかもしれませんね。

煮出しした薄茶色のヤブニッケイ茶を紙コップに入れている写真

コブシ

コブシというとまず分からない人の方が多いと思います。この樹はモクレンの仲間で、白い花が春先に咲きます。

植物を知っている人ならば、タムシバの仲間というとよくわかると思います。

モクレンの仲間には冬の花芽にある特徴があります。

それは芽が毛に覆われていることです。

見た目はグレーの猫じゃらしといったところで、とてもフサフサしています。

特徴的な見た目なので、冬でも樹種の特定ができます。

そんな花芽ですが、これがお茶の原料になります。

見た目はなかなかお茶になるのか?と心配になりますが、これが良いのです。

この花芽は生薬として「辛夷(しんい)」と呼ばれています。

鼻炎や蓄膿症など、鼻周りに効くようです。

毛に覆われているコブシの冬の花芽の写真

コブシ茶

コブシの花芽を採取しますが、これは春になれば花が咲くところです。

ですので採取については程々を心がけましょう。

この芽をしばらく乾燥させてから細かく刻み、お湯に入れて煮出していきます。

私の場合は5粒を500ミリリットルで沸かしました。

コブシは非常に煮汁が出やすく、あれよあれよとお湯が色づいていきます。また香りも強く、甘いような清涼感のある香りがします。

15分程度煮出したら十分に出ていると思いますので、ここで引き揚げます。

非常に香りの立つお茶に仕上がり、見た目もしっかり色がついていますので楽しみなところ。

お味の方は苦み・甘み・清涼感のある、健康に良さそうな味わい。栄養ドリンクから甘さを引いたような感覚でしょうか。

健康茶としてはおいしいけれど、ハーブティーとしては苦みが勝ってしまう、そんなところです。

芽を刻んだ時にも香りが立ちますが、それとあまり変わらない印象でした。

グビグビと飲めるタイプではありませんが、生薬を材料としていますので決して飲みすぎないようにしましょう。

コブシの花芽から煮出した茶色に色づいたコブシ茶を紙コップに入れた写真

まとめ

今回はヤブニッケイとコブシをご紹介しました。

決して一般には見られないお茶ですので、何とも表現の難しい味わいですが、自然のものを体感する貴重な体験となりました。

ヤブニッケイについては地域によっては植栽されたニッケイが生えているところもありますので、そちらを試してみるのも良いでしょう。

コブシについてはタムシバも辛夷と呼ばれていますので同様にお茶に出来ます。またタムシバは葉っぱにも香りがありますので、葉茶を作ってみたいですね。

今からの時期ですともう蕾は終わってしまっているかもしれませんが、今の内に花で確認し、冬にチャレンジしてみましょう。

またこれからの季節は新芽の季節です。クロモジは花にも芳香があり、フレッシュな花葉茶が作れないかと画策しています。

他にもさまざまな植物の新芽・花が出てきますが、食べられる植物を開拓していきたいですね。

今の時期のオススメはカラスノエンドウが美味しいです。

畑の雑草として厄介者ですが、豆苗のような味がしますので美味しく処理しましょう。

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