木育についてご紹介します

更新日:2022年04月01日

木育って何?

 皆さまこんにちは。地域おこし協力隊の岩井です。

 9月に入り秋の気配が感じられるようになってきましたが、まだまだ暑い日が続きますね。昨年は猛暑続きに災害と大変な年でしたが、今年は何事もないことを祈るばかりです。

 さて、今回は私が地域おこし協力隊として携わっております「木育(もくいく)」についてご紹介したいと思います。小学生のお子様がおられるご家庭では、年2回わち山野草の森で木育を実施しておりますので参加されたことがある方もいらっしゃると思いますが、聞きなれない方もたくさんいらっしゃるかと思います。是非この機会に小耳に挟んでいただければ幸いです。

そもそも木育って?

 字からすると木でも育てるの?と思われるかもしれませんが、食育にあやかった教育に関する言葉になります。平成16年に北海道で提唱され、「木を子どもの頃から身近に使っていくことを通じて、人と、森や木とのかかわりを主体的に考えられる豊かな心を育てたいという想いを『木育(もくいく)』という言葉にこめました」とあります。また、「子どもをはじめとするすべての人びとが、木とふれあい、木に学び、木と生きる。それが『木育』です。」としています。

 簡単に言いますと、自然を学び自然を大切にする心を育てよう、ということです。

濃・淡で色の違う木育用の木の板が机の上に沢山並んでいる写真

どうして木育?

 食育が提唱されるようになった背景には食生活の変化がありました。スーパーやコンビニの惣菜が溢れ、自分で作らなくとも食べることができる便利な世の中になりました。しかし、どんな食材で作っているか、栄養は考えているかなど、手作りならば当然考えられていたものが段々と薄れてきました。刺身が泳いでいるなんて話もありましたね。同時に食材を作る人、料理をする人、そして食材そのものへの感謝も薄れ、「いただきます・ごちそうさま」という日本の文化が当然ではなくなってきたというものがあります。

 話が逸れましたが、木育は木を使うという日本人の森林文化が薄れていく現代で、改めて木を使う、自然と触れ合うことを通して、環境への関心、自然を大切にする心を育てようという理念の下に生まれました。コンクリートの家やマンションが増え、木造でも壁紙などで柱が隠れてしまい、木目調の偽物の張物など、本物に触れる機会はとんと減ってしまいました。ですが、ウッディ調の家具を取り入れたり、木目柄の小物が好まれる辺りは、やはり皆木が好きなのです。本物の木の良さを味わい、本物に回帰する、そういう流れができれば嬉しいことです。そして、そんな木が自然ではどんな生き方をしているのか、森はどういう風に成り立っているのか、そんな自然環境に目を向けてもらう。そういう一連の流れで本来の日本的文化感・森林との共生を取り戻そうという取り組みです。

山の中で赤い南天の実がなっている様子の写真

木育って何するの?

 木育は対象年齢を縛るものではありません。大人から子どもまで、すべての世代で木・自然への理解を深めるものです。従って、特別にこれをする!というものはありませんが、子どもの木育と大人の木育の代表例をご紹介します。

 まず子どもの木育ですが、例えば木工です。日曜大工なんて言葉もありますが、今ではホームセンターで組み立て式の家具を使うことも珍しくありません。木にはどんな特性があり、この木はこんな色、こんな匂い、こんな重さなど、それぞれの個性があります。そういた適材適所を工夫して作ることが本当の木工・大工です。おもちゃ作りとしては積木作りもありますが、これを10種類の木で作るとどうでしょうか。積み上げる度に色もそうですが。重さによって作ることができる形も変わってきます。そういったことを子どもが理解しながら工夫することに意義が生まれます。

 ほかにも学校の裏山で、公園で遊ぶことも木育です。季節ごとに変わる風景、香り、鳥の声、そのさまざまな要因を五感で感じることが大切です。

 大人の木育の場合、環境教育として実際に山に入ることが多いです。登山やハイキングなどを趣味にされる方も多くいらっしゃいますが、そこに生えている樹の特性を知っている人はそう多くありません。水族館に行けばこの魚は何の魚とか、どんな見た目で、どんな暮らしをしているか学んで帰るわけです。空を見ればあれは何雲でいつの季節か、どんな雲かは知っている人も多いですよね。でも何故か植物の場合背景で終わってしまいます。樹を見て森を見ずならぬ、森を見て樹を見ずなのです。自然の多様性を理解し、雑木にも名前があることに気付いてもらうのです。時には自然の癒しを体感し、五感を以てありがたみを感じるというものもあります。

木育が目指すもの

 京丹波町では、京丹波町森づくり計画の「木づかいの文化づくり」において、森林機能を十分に活用した自然体験を推進し、森林教育・地域振興に繋げることを基本方針の一つとしています。町内産材を活用することは山の手入れに繋がり、森林の持つ機能を発揮させることに役立ちます。日頃の生活の中でそういったことを意識し、遠まわしではありますが環境への貢献をする。そうすることが土砂災害防止や生物の多様性を守り、循環型社会の構築に繋がります。一度人の手が入った森は手入れをしなければ荒れてしまうのです。そして今残されている自然を守っていかなければならないのです。

 私が大事にしていることは「再発見」です。今まで意識していなかったものを知ることで、意識の中で存在が認知されます。何気ない風景でも「あれ、そういえば」となるわけです。そのためには面白い木育をしなければなりません。ただ、funではなくinterestingの面白いです。教育ですから興味深く学ぶことが重要です。木が人を育て、人が木を育てる。自然と寄り添う人を育てることが木育の目指すところです。

高所から見下ろした京丹波の山々の風景の写真

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