シリーズ京丹波の自然2「長老ヶ岳」

更新日:2022年04月01日

こんにちは。地域おこし協力隊の岩井です。

前回に引き続き京丹波の自然をご紹介します。

今回ご紹介するのは、丹波の名峰「長老ヶ岳」です。

4月下旬をベースに5月の情報を織り交ぜつつご紹介します。

長老ヶ岳とは

長老ヶ岳は京丹波町和知地区の仏主から上乙見にまたがる、標高916.9メートルの山です。

東側尾根は南丹市美山町との境になっており、京都丹波高原国定公園に指定されている、自然豊かな場所です。

頂上には一等三角点が設置され、晴れた日には丹後の山々や日本海が望めます。

古くは密教寺院が立ち並ぶ霊山でありましたが、焼き討ちなどで消失してしまいました。

仏主登山道「森林ふれあいコース」

今回は麓の仏主バス停から森林公園を通り、頂上を目指しました。

仏主~森林公園

仏主バス停から出発します。昨年近畿自然歩道のトイレとして、真新しい公衆トイレが川を挟んで反対側にできました。水車小屋の隣です。ここで一息ついてスタートです。

川上方面へ道路を進むと、ほどなくして対岸に続く橋があります。ここから林道に入っていきます。川沿いに人工林が広がり、昔は畑があったのか、段々の石垣が見られます。

5分もしないうちに道がかなり荒れ、足元が危なくなります。平成30年7月豪雨の影響により、道路が削られています。通行の際は注意してください。

そこを抜けると右手に看板と登り道が続いており、そこを上がっていきます。橋を挟んだ左手には「七色の木」に続く道と、近畿自然歩道の2ルートがあります。しばらくは人工林の少し暗い景色ですが、10分ほど歩くと標高もどんどん上がり、段々と明るい広葉樹林の道へと変わっていきます。足元はアスファルトですが、傾斜が続くので杖があると楽ですね。4月には下草も乏しかったですが、5月にはしっかり繁茂していました。

さらに進むと尾根寄りの道に変わり、景色もぐっと明るくなります。途中にはサクラやヤマボウシ、トサミズキ、コブシ、モミジなど綺麗な木々が植えられ、仏主集落の展望所などがあります。

麓から3、40分ほどで開けた広場につきます。ここが森林公園です。北側の展望台やトイレがあります。

北側の展望台からは前回の近畿自然歩道ルートの山筋が見えます。森林公園の下には旧ハーブ園があり、秋にはキンモクセイがよく咲いています。周囲には種々のサクラが植えられ、八重桜や枝垂桜が拝めます。平地ではソメイヨシノが終わる頃から見頃が始まります。

緑の葉が付き始めている山の下の部分と緑の部分が少ない山頂付近を映した山肌の風景写真

まだまだ寒空の4月の仏主

たくさんの木が生い茂っている林の中でところどころに咲いているうす紫のコバノミツバツツジの写真

他より早咲きの4月のコバノミツバツツジ

山頂から緑で生い茂っている山脈を映した風景の写真

緑の深まる5月、森林公園から

木の枝に緑の葉をつけて咲いている薄ピンク色のタニウツギの花の写真

5月中旬、田植えの時期に咲くタニウツギ

森林公園~第1東屋

森林公園を後にして山登りを再開します。二手に道が分かれますが、平地ではなく斜面の方へ進みます。少し進むと大きめの休憩小屋とベンチがあります。もう少し進むと階段道が始まり、本格的に登山開始です。所々に樹木名看板が掛かっていますので、樹木を覚えながら登るのも楽しいです。(時々間違った名前になっているのはご愛嬌)

ずんずん進み、階段道を登り続けます。所々礫があったりしますので、硬めの靴底がいいですね。今の季節はまさに新緑の季節ですので、柔らかく青々とした緑が綺麗です。4月時点ではまだまだ新芽が幼かったですが、5月にはしっかり展葉していました。

下草も盛りですが、ちらほらとイワカガミが…!4月には蕾も怪しく、成長の早いものが発見できればラッキーな位でした。木々の間からはクロモジの花やコバノミツバツツジがちらほら見え、早春と新緑の間の絶妙なタイミングでした。

森林公園から3、40分ほどで第1東屋に到着します。ベンチ4脚分の座るスペースがある小屋です。

ここで水分補給と小休止を。隣には案内看板が建っています。

落ち葉のある地面から赤色の茎を出し咲いている薄ピンク色のイワカガミの写真

辛うじて咲いていたイワカガミ

緑の葉で空が隠れ、ところどころ木漏れ日が射し込む、山の斜面の様子の写真

5月新緑の木陰

第1東屋~頂上

東屋を後にして道を進みます。

まだまだ階段があったりで少し足にくる道が続きます。

道なりは尾根に近いところを通りますので、松やツツジなど尾根を好む樹木が目立ちますが、点々とイワカガミも見受けられます。ゴヨウマツもあるのは珍しいです。また、木陰に隠れていますがシャクナゲもちらほら出現し、群生している箇所もありました。

30分ほどで右手が谷になったブナ林に到着します。これまでとは雰囲気が変わりますので分かりやすいです。ブナ林を進むと人工林に行き当たり左手のカーブを上がっていきます。尾根を境に人工林と天然林が広がり、一風変わった雰囲気です。

ここから中腹~山頂への比較的緩やかな尾根道が続きます。

植物もこれまでのような尾根を好む雑木より、普段見かけない少し寒冷なところの植物が多くみられるようになります。秋には紅葉が綺麗なゾーンでもあります。

4月では新芽も生えていない、とても寂しい景色で、オオカメノキがアジサイのような花を咲かせていたのと、タムシバの白色が目立ちました。

5月になるとさすがに高標高部でも緑がじわじわと出ているでしょう。

そんな軽快な道を2,30分ほど歩くと、今度は人工林に囲まれた道になります。ミヤマカタバミがこのあたりからちらほら見られました。4月のまだ緑もない頃でも草花は強いですね。

少々傾斜が出てくると最後の登り坂です。山側の上に空が見え始めたらもうすぐです。足元にヒカゲノカズラ(水草のようなシダ)が群生し始めたらラストスパートです。

登り切った先で右手に鉄塔跡地の広場と、現役の電波塔があります。2つ目の施設の脇に上乙見から登る別の登山ルートと合流します。

この付近に階段のついた小高い丘があります。ここが長老ヶ岳の頂上で、真のラストスパートです。勾配31%(17度)のハードな階段道です。何とか登り切った先が、遂に長老ヶ岳頂上です。

濃い緑の葉がついているピンク色の蕾のシャクナゲの写真

まだまだ蕾のシャクナゲ(4月下旬)

葉のついていない木の枝に白色のタムシバが咲いている写真

タムシバ

落ち葉の上に咲いている白色のミヤマカタバミの写真

杉林の下に咲くミヤマカタバミ

頂上

石碑や岩が置いてある山頂から、遠くの山脈を撮影した風景の写真

頂上北向き展望中ほどの山が綾部京丹波境、遠くに見えるのが丹後の山々

頂上近くには東屋があり、広い休憩スペースになっています。

頂上は目と鼻の先で、少し岩場の段差を登った先には一面のパノラマが待っています。

中央には頂上の石柱が、少し北寄りに一等三角点があります。東側と南側には尾根が続いており、少しだけ歩けます。

北側は遠く丹後の山々が見え、よく晴れた日であれば日本海が見えます。南東側には麓美山町の集落が見え、丹波の山々が連なります。

麓に比べてやはり頂上はまだまだ寒空。緑の乏しい冬のような景色でした。だからこそ葉に邪魔されず景色がよく見えるというものでもあります。

今年は1週間ほど桜が遅れたこともあり、イワカガミも5月中なら頂上部で楽しめるのだろうと思います。

昼食を頂上で食べていざ帰路へ。近畿自然歩道は荒れているので、元来た道で下山します。

登りの時はなかなか気づかなかった植物に気づけたりと、余裕をもって風景を見られるのが良いですね。

まとめ

行程としては4時間で登れますが、お昼休憩などを含めて5時間が目安になります。

シーズンごとにさまざまな植物が花や実をつけますので、どのシーズンでも楽しめると思います。

関西百名山としてはイワカガミとシャクナゲが有名ですので、春のGW前後が見頃です。新緑が気持ちいいです。

晩秋にはフカフカ落ち葉を踏みしめ、紅葉を眺めることもできますし、夏には近くの権現の滝へ寄ってみるのもよいでしょう。(道中は沢登りです)

昨年の7月豪雨やその後の台風などで長老ヶ岳周辺は甚大な被害を受けました。今年は大雨に見舞われないことを祈るばかりです。

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